にいがた東区ゲンキ魂

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阿部仏壇製作所

伝統の「新潟仏壇」を誠実に守り続ける。

阿部仏壇

木工新町にある阿部仏壇製作所は、伝統的な「新潟仏壇」をはじめ、オリジナルの小型仏壇や仏具、さらにオーダーメイド家具や雑貨など各種木製品の製造販売をしている会社です。昭和24年、中央区の窪田町で仏壇の木地づくりを専門とする仏壇木地屋「石花木工所」として発足。昭和46年に東区木工新町の木工団地に移転し、社名を現在の「有限会社 阿部仏壇製作所」に変更。平成27年3月現在、三代目の吉田一彦(塗り師)さんと弟の達洋(木地師)さん、事務担当の母、木地の師匠、女性従業員の5人で工場を営んでいます。大量生産された輸入品が多くを占める今でも、伝統の技の継承にこだわり、手づくりの「新潟仏壇」を守り続けています。工場を案内していただく前に、吉田兄弟にお話を伺いました。

塗り師と木地師。二つの職人魂が響き合う。

吉田兄弟

兄・吉田一彦さん(写真左)
塗り師 昭和50年、新潟市に生まれる。営業マンなどさまざま職業を経験。「オヤジの背中を見ながら仕事をするのもいいな」と思い、仏壇塗り師になる。父の他界後、阿部仏壇製作所の代表となる。

弟・吉田達洋さん(写真右)
木地師 昭和56年、新潟市に生まれる。長岡造形大学卒業後、DTPデザイナーを経て父の遺志を継ぎ仏壇木地師になる。現在、兄とともに阿部仏壇製作所を切り盛りしている。

吉田兄弟

吉田達洋さん(弟)「仏壇は、先人たちの知恵と工夫、そして伝統の技の融合により完成します。日本伝統の木工技術の集大成とも言えます。木地、塗り、金箔、蒔絵、金具と、それぞれの職人の手仕事の積み重ねがあってはじめて仏壇としての本物の輝きが得られます。特に阿部仏壇製作所で行っている『木地』と『塗り』は仏壇の基礎であり、また必要な技術の大半を占めています。『木地』と『塗り』とは密接な関係にあり、互いに話し合い協力していかなければ本物の製品はできません。塗り師の兄と木地師の私という二つの職人魂こそが阿部仏壇製作所の個性だと思います。」

吉田一彦さん(兄)「年間で大小、お洗濯(新品同様の修繕)合わせて約20台を製造しています。1台の仏壇を仕上げるのに、木地で1ヵ月、塗りで1ヵ月、ほぼ2ヵ月かかります。お客様の「予算」「寸法(仏間の大きさ等)」「宗派」「その他要望」に合わせて、世界に一つしかない仏壇を作っています。1台1台、責任と誇りと愛情をもって仕上げています。ぜひ、本物のよさを分かってもらいたいですね」

作った自分が最後まで責任を持つ覚悟で。

KOUGI~木のものロングライフデザイン~

阿部仏壇製作所では、仏壇・仏具づくりの技を活かして、和洋の家具のオーダーメイドや木製雑貨のオリジナルブランド「KOUGI~木のものロングライフデザイン~」の製作へと展開しています。ここでも品質や機能にこだわったものづくりへの姿勢が息づいています。

達洋さん(弟)「ブランド名のKOUGIは、父の名前・孝(たかし)に義理人情の義を加えたものです。亡くなった父が病に伏した時にはじめて、『新潟仏壇』の伝統の火を絶やしてはならないという職人としての熱い思いを打ち明けてくれました。その時、父の思いと技術を兄弟で受け継いでいこうと決めたんです。ですから、当社の作るものはすべて『品質』ありき。手仕事を大切に、本当の意味での『良品』を追求しています。」

一彦さん(兄)「この間、結婚式の引出物のオーダーをもらったんですよ。仏壇屋なのに(笑)。手づくりのよさ、木製品のよさ、本物のよさを、わかってもらえたのかなと思って、うれしかったですね。当社は、営業マンがいません。職人だけの会社。だからこそ、正直な商売をすることが大切なんです。仏壇をはじめ納めた製品に関しては、作った自分が最後まで責任を持つ覚悟で仕事をしています。」

工場見学

仏壇の各部位ごとに適した製材を選びます。四季の無い寒冷地(ロシアなど)の目の詰まった丈夫な松を仕入れています。

仏壇の各部位ごとに適した製材を選びます。四季の無い寒冷地(ロシアなど)の目の詰まった丈夫な松を仕入れています。

工場内には大きなストーブが。真冬はそれでも寒いそうです。

工場内には大きなストーブが。真冬はそれでも寒いそうです。

達洋さんが持っている角材のような棒は「定規」といって、部品のサイズを揃えるための道具。

達洋さんが持っている角材のような棒は「定規」といって、部品のサイズを揃えるための道具。

丸鋸やカッターを木の材質や大きさによって使い分けます。

丸鋸やカッターを木の材質や大きさによって使い分けます。

整理整頓された作業場の中に古めかしい機械や道具が並んでいます。ノミや鉋などの道具はさまざまな形のものが必要になります。道具の手入れも大切な仕事。

整理整頓された作業場の中に古めかしい機械や道具が並んでいます。ノミや鉋などの道具はさまざまな形のものが必要になります。道具の手入れも大切な仕事。

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部品一つひとつを丹念に作っていきます。

部品一つひとつを丹念に作っていきます。

設計図は先程の定規と頭の中に。図面はありません。

設計図は先程の定規と頭の中に。図面はありません。

強固にふっくらと美しく仕上げるために、下地3回、中塗り、上塗り、本塗りと、塗りにも手間と時間をかけます。

強固にふっくらと美しく仕上げるために、下地3回、中塗り、上塗り、本塗りと、塗りにも手間と時間をかけます。

見えないところも丁寧に抜け無く塗ります。木地むき出しの部分があると湿気が入り込み、割れてしまうこともあるそうです。

見えないところも丁寧に抜け無く塗ります。木地むき出しの部分があると湿気が入り込み、割れてしまうこともあるそうです。

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仏壇に使われる金箔の中でも純金の含有率の高い一号色(金沢産)だけを使用。10年以上経っても輝きを失いません。先代からのこだわりだそうです。

仏壇に使われる金箔の中でも純金の含有率の高い一号色(金沢産)だけを使用。10年以上経っても輝きを失いません。先代からのこだわりだそうです。

蒔絵と金具は社外の職人さんにお願いしているとのこと。

蒔絵と金具は社外の職人さんにお願いしているとのこと。

寺院などの修繕工事に出向くことも。「新潟仏壇」の伝統の技が冴え渡ります。

寺院などの修繕工事に出向くことも。「新潟仏壇」の伝統の技が冴え渡ります。

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<取材を終えて>
取材当日は、お忙しい中時間を設けていただき、お二人で工場を案内してくださいました。素人にもわかりやすい誠実で丁寧な説明と仏壇づくりにかける思いに感動しました。先代が守り続けた『新潟仏壇』の伝統の火と職人魂は、吉田兄弟にしっかりと受け継がれていると感じました。

 
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有限会社 阿部仏壇製作所
住所:新潟市東区木工新町372-10
TEL 025-275-7801(代) FAX 025-275-7802
ホームページ:http://www.ab.auone-net.jp/~abe-bu
ブログ「ものづくり日和」:http://abebuts.blog53.fc2.com/

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更新日:2015年3月31日